漁業法コンメンタール

発 行:令和4年5月28日
装 丁:A5 438ページ

 本書は令和三年三月二二日発行の『改正漁業法註解―新旧条文対照―』(略して『註解』)の姉妹編として位置づけられるものです。平成三十年十二月十四日に改正され、令和二年十二月一日に施行された漁業法は、形式的には改正(正確には「漁業法等の一部を改正する等の法律」の制定)であるけれども、実質的には同名の法律の廃止と制定であると見ることができるでしょう。そのために、改正後の漁業法は、改正前の条文を知らなくても、体系的に構成されているので、条文の順序通りに読み進めることができます。その点では、既得権者よりも、新規参入者に配慮した立法であると言って良いかもしれません。
 確かに今回の改正は「七十年ぶりの抜本改革」と騒がれるだけのことはあって、大部分の条文が削除または修正されています。そのために、新旧条文を並べただけでは、具体的に何がどのように変わったのか読み取ることが困難です。
 しかも削除された条文の中には、新設の条文として復活しているものが多数あり、極端な場合は条番号が変わっただけで、法文は新旧同一というものも若干あります。また、新設の条番号の中には、文字通りの新設は少なく、条番号が新たになっただけで、内容は殆ど変わっていないものがあり、極端な場合は平仮名を漢字に改めただけのものもあります。
 このような問題点を解消するために、『註解』では、漁業法の沿革と改正の経緯を記載した上で、改正前後の全条文を、法文の内容に応じて対比し、どの条文がどのように変わったのかということに重点を置きました。
 それに対して、本書では、今後の漁業法の解釈・運用という観点から、全条文について解説しました。理論よりも実務重視という視点から、主務官庁である水産庁の資料を参照し、不明な事項は電話やメールで問い合わせました。特に漁政部漁政課の皆様には、ご多忙中に拘わらず、親切にご回答頂きました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
 ところで、本書では、漁業法だけではなく、漁業法施行令や同規則その他の政省令の条項を、関連条文の解説の中で、引用しました。その点で、本書は単なる逐条解説という枠を超えて、漁業法全書としてご利用頂ければ幸いです。
 尚、本書を必要な時に必要な箇所だけ参照される場合が多いことを想定して、どこから読み始めても良いように、くどいようでも同一内容文言や註も多用しています。また、法令の別表と通達は、参照しやすいように、資料として作成してあります。効率よくご活用して頂ければ本望です。

一般社団法人 産業法務研究会
専務理事 平川 博
型番 ISBN978-4-87409-053-4
販売価格 4,950円(税450円)
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